【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。



 二十分という長い時間だが踊っているとあっという間で終わり舞台から降りまっすぐ控え室に戻る。
 いつもそうだが脱力感が半端なくてこんなんじゃダメだよなと思いながら、衣装を脱ぎメイクも落としかつらも取った。

 いつもの着物へと変えてダラダラと過ごしていると、時間は結構経っていて兄が迎えにきた。


「お疲れさん、百合乃。今日も良かったよ、藤娘。だけどあんなに素敵だった鳳翠さんがこんなダラけてるなんて門下生もお客さんも想像つかないだろうな」

「はぁ……黙ってよ。誰も見てないわ。兄様はとてもお元気ね。相変わらず体力バカ」  

「はは、まぁな。車を呼んだから準備して、寝るのは後だよ」


 車もう来てるのか……早いなぁと思いながら帰り支度をしてお兄様と待機しているという車に向かって乗ると揺れが心地よくて眠ってしまった。

 次に目が覚めた時には家に到着していて、なぜか自室にいて外はもうすでに真っ暗だった。  




 
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