【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。



「復習から始めましょうか、では、お辞儀から」


 だが、彼らはさすが俳優さんと言うべきかもうすでに完璧だった。こんなすぐに習得できるなんて……うちに欲しくなるよ。
 それに礼儀作法やすり足の仕方と扇子の広げ方を指導して次は手の基本についてだ。

 女の手、男の手があるがまずは基礎から始める。


「まず、しっかりと力を入れて伸ばして指がそり上がるようにします。親指に力は入るが反らないようにまっすぐに内側に、指は閉じます」


 茉縁さんはダンスの経験と、舜也さんの方はバラエティ番組の企画で歌舞伎をやったことがあるらしく上手だった。普通のお稽古なら、女の手と男の手を両方やるがドラマで踊るのが主なので別々で教える。

 まず、女の手からだ。


「先ほどやった基本の手から緩め、反った形から手の甲からまっすぐになるようにします。人差し指以外の中指、薬指と小指を軽く曲げる。そうすることで力を入れていないように見えます。これが胸元にあったり、何かを指すというときに使う動作なので自然な動きをするには大切です。握り手は、親指に人差し指が包み込むように曲げます」


「なかなか難しいですね……だけど、先生みたいに滑らかに出来ないですね。動画とってもいいですか? 練習したいので」

「もちろん大丈夫ですよ」


 茉縁さんがスマホを持ってきて私にカメラを向けた。手の形の説明をしながらの見本をやってみせると「ありがとうございます」と言って練習を始めていた。


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