【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
「お疲れ様です! 鳳翠先生」
「茉縁さんもお疲れ様です。とっても良かったです」
「ありがとうございます。でも撮り直しですね、多分」
茉縁さんはそう言うと、監督がいる方を見た。
「納得してない顔してるから――」
「……おーい里谷さん! ちょっとこっち来てー」
彼女の言う通り、監督が彼女を呼ぶ声が聞こえてそちらに行ってしまった。
それからも昼まで見学しているとスマホがブーブーと震える。
スマホの画面を見れば郁斗さんからメッセージ通知が出ていた。それをタップすると、LINEのトークページを開いた。
【今、帰って来ました。テレビ局の近くにいるんだけど時間が合えば迎えに行くよ】
え!帰るの三日後って聞いていたけど早く終わったのかな。
【帰ってくるの三日後って言ってませんでした?】
【仕事は昨日のパフォーマンスで終わりだったんだ。他の仕事は急いで終わらせてきたんだ】
そうなのか。せっかくだし、迎えに来てもらおうかな……
【じゃあ、お迎えをお願いできますか?一緒に帰りたいです】
そうメッセージを送ると、話し合いが終わった本郷くんに近づき声を掛ける。