【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
「あの、郁斗さん。……買いすぎでは?」
「え? そんなことないよ。これは一緒に食べたかったものだし、こっちは似合うんじゃないかって思って。まだ控えた方だよ。今度は一緒に買いに行こう」
「えっ、あ、はい」
控えた方って……この山で?嘘でしょ?
「お酒は夕食で飲もう。まだ作り置きあるよね?」
「う、うん。冷凍庫に……」
「じゃあそれを夜は食べようか。百合ちゃん、そろそろだきしめてもいい?」
「はい、よろしくお願いします」
郁斗さんは手を広げて「おいで」と言い、私が近づけば彼にグイッと引き寄せられる。シュシュで一つにまとめていた髪を解かれ、髪はパサっと下ろされた。
「郁斗さん?」
「まとめてる百合ちゃんは綺麗だけど、下ろすと可愛いよね」
「えっ……」
体に手を回されぎゅっと郁斗さんに抱き締められた。彼の手は、後頭部に移動して撫で撫でをする。
「少し痩せた? 仕事、大変?」
「そ、そうですか? お仕事は新鮮で楽しいです。今、撮影が始まって勉強の毎日で……」
「そっか、楽しいなら良かったよ。放送日が楽しみだ」
「私も楽しみです」
初回放送日は仕事がないからと一緒に見ることができるみたいでそれも楽しみの一つだ。
それから夕食の時間までゆっくりと過ごして夕食は冷凍食を電子レンジで温めて配膳すると郁斗さんが買って来てくれたお酒と共に食事をし、お風呂に入る。