【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
第四章

◇お茶会




 ドラマ撮影が始まって一ヵ月が経ち、今日は放送第一回目が始まる日だ。

 宣伝で、茉縁さんと舜也さん二人が朝から有名な情報番組【月(から)金までmorning】にゲストで出演していた。


『本日から始まるドラマ、“花明かり”から里谷茉縁さんと舜也さんがきてくださいました――』


 アナウンサーが二人を紹介し二人も「おはようございます」と挨拶をしている。こうやってみると、本当に今日からドラマが始まるんだなぁと実感する。


『どんな話なんですか?』

『えー……私が演じる咲子は普通にいるOLは求婚され入籍直前で婚約破棄をされるのですが、日本舞踊に出会って日本舞踊に魅せられていく話です』


 それから予告映像が流れる。


「……百合ちゃん、どうぞ」

「あ、ありがとうございます。郁斗さん」


 私のいるテーブルの前にコーヒーの入ったマグカップが郁斗さんによって置かれる。
 さっきまでコーヒー豆の挽く音がしていたから彼が淹れてくれたのだろう。いつもならいい香りだと思うのに、今日は何故か香りがきつい、気がする。どうしてだろうか……

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