【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
「お義母様のお茶、楽しみです」
「ありがとう。私、お義母さんの前で言うのはあれだけど茶道の方が好きなのよ」
確かお義母様は、茶道の分家の次女だったと聞いたことがあるし、何故か味が違うのだ。
「あら、あなたはお茶が得意なんだからいいと思うわ。私はね、華道家に嫁いだからってそれをやらなくてもいいと思ってるのよ。自分が好きで得意なことをするべきだって私は思うわ。無理にやっても続かないからね」
「そうおっしゃってくださるのはお義母さんくらいですよ。普通は、家のために〜って言われますよ」
「そうねぇ、でも、一度きりの人生なのだから好きなことをしないとね」
茶室に入って座ると、和菓子が運ばれてきた。
「今日の和菓子は、新しく出来た和菓子屋さんで買ってきたんですよ」
「そうなんですね、涼しげで素敵ですね」
出された和菓子は錦玉という寒天に砂糖や水あめなどで甘味をつけて型に入れて固めた和菓子で、これは定番の金魚鉢をモチーフにしたものだ。綺麗で可愛らしい。