【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。



  ***


 会館から家までは歩いて十分ほどで到着する。

 私の家は明治時代に建てられた日本家屋で庭師が管理する立派な庭がある。千曲家は旧大名家の血筋でこの家も登録有名文化財になっているすごい建物らしい。


「ただいま帰りました」


 草履を脱いで玄関に上がり両親がいるだろう居間には行かないで和室に向かった。和室に行くと、まだ生けていないお花と花器が放置されていた。


「これは生けてってことだよね、荷物おいてきたらやろうかな」 


 荷物は二階にある自室に置いて下に降りると自分の花鋏を持ってきて和室に入る。
 花材は、コバンモチ、スカシユリ、モンステラで黒の花器だ。

 葉物が綺麗で、スカシユリは立派な花を咲かせている。これは玄関用かなと思いながら、生けていく。
 私は、日本舞踊家だが小さな頃月森流の先代家元の下で稽古をしていたので普通一級を持っているので生花は出来るし好きだ。
 水の中に茎を入れて斜めに切る。こうすることで花が水をよく吸水してくれて長持ちするので必ずやっている。

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