【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。



「貴方の立場のことは想像も出来ないし、僕が経験することもない。大変だと思います。だけど、好きな女の子を幸せにすることは今の僕なら出来ます。必ず幸せにする自信がある。なのになんで、紙一枚で家族だと証明できて世間も祝われてそばにいる貴方が百合乃さんを幸せとは真逆、寂しそうな顔をさせているんでしょうか。きっと、貴方の想いが伝わっていたら、両思いだと確信があったならば彼女はあんなに悲しそうな顔をすることはならなかったはずだ……今すぐにでも、好きだと伝えて奪いたいくらいだ」

「それは、嫌です。俺はどうしようもなく好きだから」

「そうですか。じゃあ、仕方ないから協力してあげますよ」


 本郷さんはそう言うが、協力とはなんのことなのかわからない。


「……これでもテレビ局で働いてます。キャリアも積みました。番組制作も携わってます。今、世間はあなたに批判的だ。百合乃さんが悲しまないよう、名誉回復をしましょう。僕は、百合乃さんが笑ってもらえるように僕にしかできないことをします。だから貴方も、貴方にしかできないことをしてください」


 そう言って丁寧なお辞儀をされ、彼は段取りが付いたら連絡しますと告げて出て行った。




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