【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
郁斗さんと京都支部代表の娘さんの熱愛報道。
最初は信じていなかったけど、あの日からずっと報道されていて精神がすり減っていくのを感じていて情緒不安定が続いている。
一日何度目かの溜め息を吐くと、病室のドアがノックが聞こえて返事をした。
「こんにちわ〜百合乃さん」
「あ、茉縁ちゃん。来てくれたんだ。ありがとう」
やってきたのは茉縁ちゃんで、食事会ぶりの彼女だ。
あの時、勝手がわかっているアキさんには家の留守を任せた結果、救急車を呼んでくれて救急車に乗って病院まで付き添ってくれたのは茉縁ちゃんだった。
その時、名前を鳳翠と呼ぶのはややこしいので本名で呼んでもらうことにして私も親しみを込めて“さん”付けから“ちゃん”付けにしている。お友達みたいで少し嬉しい。
「ううん。退屈してるんじゃないかなって思ったので、来ちゃいました。友達で百合乃さんと同じくらいに入院で退屈だって言っていたのを思い出したので……それに今日はお伝えしたいことがあったので」
「伝えたいこと?」
「今日の十三時、ドラマの時のテレビ局でやっている【昼から1!2!3!】という情報番組を見てください」
「えっと、新人アナウンサーがMCをしている番組だよね? でもどうして?」
「そうです、その番組です。理由は言えないですが、きっと見てくださいと言われましたので……あ、友人の時も持って行ったのですけどキューブパズルを暇つぶしになるといいかなって思って持ってきたのでよかったら遊んでください」
茉縁ちゃんはそう言って私にそれを渡した。昔やってことがあるパズルだけどあれより少し小さい。コンパクトで可愛らしい。
「色も可愛いですよね、パステルカラーで。見に行って百合乃さんっぽいなって思ったんですよね。ふふ、そうだ。今日舜也さんも誘ったんだけど、男だしって言って退院してから行くからと伝えて欲しいって言ってました。そうだ、この前の写真SNSに投稿していいですか?」
「全然大丈夫。舜也さんにも大丈夫って伝えてくれる? じゃあ、私も投稿していい?」
「ぜひ、お願いしいます。舜也さんも喜びますよ、よかった」
「気を使わせてごめんって謝っておいて。急に倒れちゃったし、ニュースのことも。ドラマに影響ないといいんだけど」
それが一番気になっていて最終回が放送後だといっても、影響があったのではと思ってしまう。