【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
◇お見合い
お見合い当日はとても朝から温かくて気持ちが良く、快晴だった。
そして大安という吉日だから縁起がいい。きっとこの縁談を持ってきたのではないかと思われるお祖母様がこの日を指定したと思う。
「綺麗ね、百合乃ちゃん」
「ありがとう、お祖母様」
早起きした私はパパッと支度をして美容院に送られて、そこで振袖を着て髪をセットされた。編み込みがされている緩い感じのシニヨンは自分ではできない髪型だ。
「……可愛いわね」
そう呟いたお母さんは振袖を見て懐かしむような表情をする。
美容師さんはすごいなぁと思いながら鏡を見ていれば、お父さんがノックをしてピョコっと顔を出した。
「百合乃、そろそろ大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
「似合ってるな、母さんの若いときにそっくりだ」
「……ありがとう、お父さん」
私は立ち上がると、お父さんとお祖母様と一緒に美容院の前に停めてある車に向かう。運転手がドアを開けてくれて乗り込む。
今日はお留守番らしいお母さんにここで見送られて車は出発した。