【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。



 美容院からお見合いする場所である【高級寿司・風花(ふうか)】までは三十分かかる。都内から外れた小高い丘にある。

 【高級寿司・風花】は、江戸時代から続くお寿司屋で戦前は旧華族や皇族も通う老舗であり、今でも富裕層の方々に人気の高級寿司店だ。
 それに、一度テレビで特集されたため予約も殺到していて三ヶ月待ちと聞いたことがあるけど……お金を注ぎ込んだのか、それともそれくらい前から話がでていたのか。

 到着して車から降りると、そこには立派な門構えがあった。門を潜って玄関に到着すれば、高級旅館を思わせる都心の喧騒を感じさせないどこか神秘的な雰囲気が漂う。
 玄関に入れば、仲居が綺麗なお辞儀で出迎えてくれた。


「いらっしゃいませ、千曲様。お待ちしておりました」


 ここは担当の仲居が付くらしく今日はこの人らしい。


「私、ナガヤマと申します。よろしくお願いいたします。では、ご案内しますね」

< 27 / 192 >

この作品をシェア

pagetop