【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
「失礼いたします、千曲様がいらっしゃいました」
仲居がそう言えば聞き覚えのある声で返事が聞こえてきた。仲居が襖を開けて中に入るように促されて足を入れる。
和室だけどダイニングテーブルがあり椅子が人数分並べられていた。
中にいたのは数日前にも会った郁斗さんがいた。
「ふ、郁斗さん……?」
「百合ちゃん、いらっしゃい。遠いところありがとう」
郁斗さんと郁斗さんのお祖母様と郁斗さんのお父様が座っていた。
「百合ちゃん、振袖お似合いね。ナミエちゃん、今日はありがとうねぇ。体調はどう?」
「えぇ、おかげさまで……私たちも年だでねぇ。サクラちゃんも元気でよかった」
ナミエちゃんというのは私のお祖母様のことで、サクラちゃんというのは郁斗さんのお祖母様のことだ。幼い頃からの幼なじみらしくて姉妹のように今でも仲がいい。
サクラさんは、私にとってお華の先生でもある。