【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
「さ、百合ちゃんも座って」
「はい、失礼します……」
郁斗さんに促されるまま、彼が引いてくれた椅子に座る。
もしかしてお父さんが相手の情報は一切言わなかったのは郁斗さんだったからか。
「まずはお昼食べようか」
「そうですね」
その言葉で前菜が運ばれてきた。
相模湾産のさざえに町田産の文旦、相模原産のお野菜などを使った地物の旬の前菜の盛り合わせ。そして蛤のお出汁で作った茶碗蒸しに春キャベツ餡を乗せたもの。そして、江戸前鮨中心の握り寿司が十巻ついたコースだ。
こんな贅沢なランチは久しぶりで、ワクワクする。お寿司もツヤツヤしていて新鮮さが伺えた。