【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。



 そう言ってお祖母様たちはこの部屋から出て行った。
 数秒、二人とも沈黙の時間が続いて静かだったが郁斗さんが口を開く。


「今日は来てくれてありがとう、百合ちゃん」

「いえ、あ、父からはお相手のことを聞いていなくて……郁斗さんだなんて思わなくて」

「そうか、でも来てくれて嬉しい。振袖もとても似合って綺麗だ」

「ありがとうございます、美容師さんと呉服屋さんが頑張ってくださったおかげです」


 呉服屋さんのコーディネート力と美容師さんの技術が今の私を作っている。本当に専門職の人はすごいし尊敬する。こんな素敵にしてくれて舞台の時とは違うワクワクする。



「百合ちゃんが可愛いからだよ、それにいつもの髪とは違うし」

「……ありがとうございますっ、郁斗さんもかっこいいですよっ……あ、あの廊下のお花見ました。とても素敵でした」

「ありがとう、嬉しいよ。そうだデザートもここのは美味しいんだよ。一緒に食べない?」

「食べたいです。何が美味しいんですか?」

「いろいろあるんだけど、プリンが濃厚で美味しいみたいだよ。店主の奥様が独身時代はパティシエだったらしくてね」

「そうなんですね、すごいですね。プリン美味しそう」




< 32 / 192 >

この作品をシェア

pagetop