【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
そう言ってお祖母様たちはこの部屋から出て行った。
数秒、二人とも沈黙の時間が続いて静かだったが郁斗さんが口を開く。
「今日は来てくれてありがとう、百合ちゃん」
「いえ、あ、父からはお相手のことを聞いていなくて……郁斗さんだなんて思わなくて」
「そうか、でも来てくれて嬉しい。振袖もとても似合って綺麗だ」
「ありがとうございます、美容師さんと呉服屋さんが頑張ってくださったおかげです」
呉服屋さんのコーディネート力と美容師さんの技術が今の私を作っている。本当に専門職の人はすごいし尊敬する。こんな素敵にしてくれて舞台の時とは違うワクワクする。
「百合ちゃんが可愛いからだよ、それにいつもの髪とは違うし」
「……ありがとうございますっ、郁斗さんもかっこいいですよっ……あ、あの廊下のお花見ました。とても素敵でした」
「ありがとう、嬉しいよ。そうだデザートもここのは美味しいんだよ。一緒に食べない?」
「食べたいです。何が美味しいんですか?」
「いろいろあるんだけど、プリンが濃厚で美味しいみたいだよ。店主の奥様が独身時代はパティシエだったらしくてね」
「そうなんですね、すごいですね。プリン美味しそう」