【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
第二章
◇仏前式
郁斗さんとのお見合いから早いことで半年が経った。
私はラグジュアリーホテルとして有名な唐橋リゾートグループの一つホテルKARAHASHlにある一室にいた。
「とてもお似合いです、百合乃様」
「ありがとうございます」
今日は私と郁斗さんの結婚式が行われる日だ。天気は快晴。
いい天気の中で、私たちの結婚式はチャペルではなく、お寺で行われる【仏前式】と呼ばれるものだ。
仏前式とは、仏様やご先祖様に結婚の挨拶をして二人巡り会えたご縁に感謝をする儀式であり一度結婚すると来世まで連れ添うという仏教の教えにのって新郎新婦が仏様の前で来世まで結びつきを誓うものだ。
そして、その中で【念珠授与】と呼ばれる儀式は結婚の祝いとして白房の数珠を新郎に赤房の数珠を新婦に僧侶が授けるといった特徴的なものがある。
「郁斗様がいらっしゃいましたが、通してもよろしいでしょうか?」
「はい。どうぞ」
そう言えばスタッフと共に黒紋付き羽織袴を着た郁斗さんが入ってきた。