【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
「何度も衣装でこんな感じのものを着ているのに、やっぱり違いますね。緊張もあるかもしれないですけど、とても気持ちが昂ってます」
「そうか。俺も和装は慣れていると思っていたのだが、なんだかくすぐったい。だけど、綺麗な百合ちゃんを見せたくはないな」
和装でも座りやすいソファに横並びで座ると、郁斗さんは私の手を握って「今はこれくらいしかできないからね」と指を絡ませた。
何を話すでもなく、そのままでいるとあっという間に時間になったからかスタッフさんと媒酌人を務めてくださる郁斗さんの伯父である郁萌さんが迎えにきた。
仏前式が行われるお寺は、このホテルの隣にある由緒正しいお寺だ。
専用のエレベーターで一階まで降りてスタッフさんと郁萌さんに導かれながら郁斗さんと共にお寺へ向かう。その途中で宿泊客や許可済みのメディアの人が大勢並んでいるのが見える。
お寺に入堂すれば、お互いの家族が座っていた。