【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。



 式は家族のみのものにしたいと郁斗さんが言ったため、最小限だ。

 僧侶が焼香をして仏様とご先祖様へ結婚式を始めるための言葉『敬白文』を読み上げ始める。
 それが終わると次は僧侶から郁斗さんは白い房の数珠を、私は赤い房の数珠が授与される『念珠授与』だ。

 両手で受け取り左手の親指以外の四本の指にかけて合掌をした。そして指輪の交換のため、僧侶からリングピローを受け取る。

 このリングピローは、升につまみ細工や水引を敷き詰めた二人で作ったものだ。だから愛着がとてもあって何度見ても素敵だなぁと思う。
 指輪も二人で考えたデザインでお互いに仕事で邪魔にならないようなものにした。シルバー色に二人の誕生石が裏側に付いた指輪を受け取り郁斗さんから私の薬指にはめられ、私からも郁斗さんの薬指にはめた。

 その次に、僧侶が私たちに結の誓いを求められてそれぞれで「誓います」と答えてからご本尊に向かって誓詞(せいし)を読み上げる。
 なんとかここまで順調に進んだけど、いまだに緊張する。これからの誓杯がちゃんとリハーサル通りにできるのか不安と緊張で心臓が飛び出しそうだ。


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