【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
「郁斗さん、本格的ですね」
「うん。コーヒーがあるの知ってて、ホテル側にドリッパーを準備してもらっていたんだよ」
「え、そうなんですか?」
話をしているとお湯が沸いていて、それを止めると彼はドリップポットにお湯を注いだ。
「いつもコーヒーはこうやって淹れてるんですか?」
「いや、仕事が休みの時だけかな。あとは朝に余裕があれば」
「そうなんですね」
コーヒーのドリップが終わり、マグカップにコーヒーが注がれる。それをソファのあるテーブルへと運んでくれた。
「……ありがとうございます、いただきます」
「どうぞ、召し上がれ」
湯気が立つマグカップに口をつけ一口飲む。コーヒーの香りと共にフルーティーで爽やかな味が口いっぱいに広がる。
「……美味しい、郁斗さん、美味しいです」
「良かった。誰かに淹れるのは初めてだったから喜んでもらえてよかったよ」
「こんなに美味しいのに……なんだか特別って感じがして嬉しいです」
「俺の奥さんなんだから特別だよ」
郁斗さんはそう言いながらコーヒーを飲んでそろそろディナーの予約時間が迫っているからと私に告げる。
私もコーヒーを飲み終わると、ディナーに行くために彼が用意していたレースのバックリボンが可愛いらしい背中開きのワンピースに着替えをした。
準備が終わった郁斗さんと一緒に部屋を出ると、エスコートをされながら最上階の都内が見渡せる夜景の綺麗なレストランへ向かう。
ウェイターさんに案内されて個室に入った。