【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。



  ***


「……よ、よろしくお願いしますっ」

「月森様、こちらこそよろしくお願いします」


 レストランから部屋に帰ってきてすぐに、郁斗さんは私にプレゼントがあると微笑みながら言った。
 そして連れてこられたのは、ホテルのリラックスフロアの二階にあるリラクゼーションサロンで【リラクゼーション・カルム】と書かれたお店だった。

『式で疲れただろうからね、俺からのプレゼントだよ』
 郁斗さんはこのお店の向かい側にあるカフェにいるらしいが。



「本日担当致しますエステティシャンの永角(ながすみ)と申します。今回は――」


 このサロンではアロマを使う全身のボディトリートメントを主にしている。
 ボディトリートメントは英国製のアロマオイルを使用し、複数のアロマをブレンドしてスイートアーモンド油で作製したボディオイルでマッサージをするらしい。 


「それでは、こちらが大丈夫でしたらサインをお願い出来ますか?」

「は、はい」


 永角さんは、タブレットとタッチペンを渡した。健康チェックのがありそれにチェックをして名前を書いた。初めて月森って書いたのがエステサロンだなんて贅沢だな。


「ありがとうございます。ではご案内いたします」


 それから個室に案内され、マッサージチェアーのようかソファに座ると足湯の桶が足元に置かれた。


「こちら、アロマの入った足湯です。湯加減大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です」

「このまま足裏のマッサージをさせていただきます」


 足裏のマッサージが終わると、ベッドに移動して寝転がる。

 背中や肩、首のこりに滞ったリンパを流していくトリートメントが始まる。ゆったりしたリズムに力加減で自分ではケアできない背中にも施される。


「今回のアロマブレンドは英国製のアロマオイルでラベンダー・ゼラニウム・ベルガモットです。キャリアオイルのスイートアーモンド油で作製いたしました」


 いい香りと気持ち良いマッサージで癒された私は少しうたた寝してしまって気付くと、サロンではなく部屋のベッドの上だった。



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