【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。




 彼女と出会ったのは、俺が高校生で彼女は中学生の頃だった。場所は、月森(うち)の家元が使うことが許される稽古室。俺は、いつものように当時の家元である祖母と稽古をしていた。


「郁斗、今日はね千曲家のお嬢様方が来るわよ」

「……千曲家? お祖母様のお友達の?」

「そうよ。妃菜ちゃんと百合ちゃんって言ってね、ずっと(らい)の元で稽古していたのだけど私のとこでお稽古してもらうことになったのよ」


 頼というのは、お祖母様が1番信頼している師範だ。なのに頼から祖母に来るなんてよっぽど優秀なんだろう。


「初めまして。千曲妃菜乃です」
「……はじめまして、千曲百合乃です。よろしくお願いします」


 二人はとても似ており、瓜二つ。まるで双子のような顔をしていたが、性格は正反対だった。



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