【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
それから俺は、真面目に稽古をして一級師範代を取得して次期家元だと認められたのは大学卒業する頃。これで百合ちゃんに求婚が堂々とできる、あの頃とは違って守ることができる。
そう思っていたのに、俺は祖母たちのゴリ押しで妃菜乃と婚約することになってしまった。
婚約するために妃菜乃と会うことになった。いわゆる顔合わせだ。妃菜乃とは、数年前に会ったきりで久しぶりの再会だ……なのに、なぜか彼女に最初から俺は睨まれている。
「郁斗さんって、顔はイケメンなのに意気地なしなのね」
「……は?」
「こっちが、は?よ。郁斗さんは、百合乃が好きなんだと思ってたわ。私で、本当にいいの? まぁ、断れない婚約だけど」
全て、妃菜乃にはお見通しだった。
「うちは、今はねお祖母様が全てなの。お祖母様がこう言ったらそうなるのよ。だから、もしあなたが百合乃が好きだから百合乃と婚約したいと言えばよかったのに……」
お互い、ケンカのような顔合わせが終わり数日後には婚約が成立した。
そうして、月に一度交流会と称した食事会……いや、彼女が食べたいものを奢る会が開催されるようになってもう半年が経った。
もちろん、色事は全くない。