【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
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結婚式から三日経った。結婚したのだから生活が変わるかと思うが、全く変わらない。
私は結婚前と変わらず日本舞踊家として活動をすることになっている。
変わったのは千曲流日本舞踊家『千曲鳳翠』の芸名から千曲流日本舞踊家師範『月森鳳翠』となった。結婚しても変えることがない人もいるが、私は世間でも結婚したのを知られているし何より私が月森に改めたいと思ったのでそう名乗ることになった。
今日は、月森鳳翠になってから初めて初心者向け教室のお稽古をする日だ。
「じゃあ、行ってらっしゃい。気をつけてね」
「うん。ありがとう。行ってきます」
郁斗さんが今日は何もない日だといっていたので送ってもらい、出勤する。
なんだか緊張するが「おはようございます」と言いながら出勤ボタンを押した。更衣室で着物に着替えて今日使う【稽古室・菖蒲】に向かった。
今日はお稽古での練習曲である箏曲『さくらさくら』を一通り踊ることになっているのでその準備に取り掛かる。準備室にある箏を出しに行き、音出しを始めるために箏に柱を立てて爪を親指、人差し指、中指にはめてからチューナーを使って平調子の調弦を取る。
それが終わると、みんなが来る前に一度練習する。普通は音源でやるのだけど、一通り踊れるようになってきていたので気分を変えるための本物の箏で踊ると楽しいかなという私の考えだ。
「こんなものかな」