【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
準備ができてゆっくりと箏を弾いていると「こんにちわー」と生徒さんが入ってきた。
「こんにちわ〜」
「先生、テレビで見ました! 結婚おめでとうございます。あの、ささやかですがこれお祝いに」
「ありがとう。え、お祝い?」
「テレビで、お相手が華道家の方だって聞いたのでお花のアイシングクッキーです。私、普段パティシエをしているので味は保証します」
紙袋に入っていたのはクッキー缶だった。パティシエの子がいるとは書類で知っていたけど、こんなお祝いをしてくれるとは思わなくて感動してしまう。
「あ、あと。これはみんなからです」
もう一つは有名和菓子屋さんのロゴの入ったもので透明な容器からは綺麗なお花が見えた。確か、お花絞りの団子だ。
「そんないいのに」
「いつもお世話になってますから、お礼も兼ねてです」
「……ありがとう、大切にいただきます」
どちらもお華のもので郁斗さんに早く見せたくなるなぁと考えてしまったけど、お稽古はしっかりとしないとと私はもらったものを日陰に置いていつものように稽古をした。