【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。


 能などで使われる衣装の能装束の中でも豪華で装飾性の高い美術織物の唐織(からおり)を染めで表現した芥子色の着物にそれに合わせた帯、そして髪型はねじりシニヨンに本べっ甲にパールが付いている蒔絵螺鈿(まきえらでん)が描かれた簪と櫛を付けていた。


「お綺麗です、奥様」

「ありがとうございます」


 そして郁斗さんは萌葱色のお召一つ紋付に芥子色の羽織、茶色の帯をしている。何着ても絵になる美青年だ。 

 
「綺麗だな、簪もそれにしてよかった」


「ありがとうございます。郁斗さんもとてもお似合いです」


 郁斗さんは、ヘアメイクさんたちにお礼を告げると月森家の運転手さんが迎えにきてくださったみたいで二人車へと乗り込むと出発した。




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