【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
◇決意と挨拶と
新居から走ること三十分ほどの所に月森家の本家がある。
月森家のお屋敷は、何回か改築されているが最初明治十年ごろに建てられた日本家屋だ。本邸と別邸が存在しており、お稽古したりする和室や初生け式などの行事を行う大広間があるのが本邸で、別邸が家元一族が暮らしている家だ。
今から向かうのは、別邸である。
「……さぁ、百合ちゃん。行こうか」
郁斗さんにエスコートされながら、私は結婚して初めて月森家の門を潜った。
玄関を彼が開けると、見覚えのある家政婦さんが出迎えてくれた。