【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
本邸の大広間にある襖の前まで到着すると、話し声が聞こえてくる。ここに集まっているのは、分家の人――いわゆる親戚筋の方々に親戚以外にも師範代を持つ上の人たちだ。
「サクラ様、家元さま、奥様入ります」
襖を郁斗さんの付き人でお弟子さんでもある男性が開けると、サクラお祖母様が入り郁斗さんと私が入った。
上座に座り、義両親と綾斗さんは後ろから入っていたようで向かい合うように分家の方に座る。
「今日は集まってもらってありがとう。報告がある。皆、もう知っていると思うが私は千曲流日本舞踊家元の娘である千曲百合乃と夫婦となった。妻の百合乃だ。皆も会ったことがあると思うがよろしく頼む」
郁斗さんが言っていたとおりの報告の挨拶が終わり、彼と目が合う。
「お初にお目にかかります。妻の百合乃でございます。不束者ではございますが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」
そう告げて、両手を揃えて太ももの上に置くと背筋を伸ばしたまま前へ傾けて同時に手も前へと滑らせる。そのまま状態を傾けて床に手をつき胸が太ももに接するまでお辞儀をした。