【完結】国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。
「……どうしたんだ?」
「ちょっとよくわからなくて――って、え!? ふ、郁斗さん。いつ、お帰りに……っ」
「もう十分くらい前かな。一生懸命作っている様子だったし、声を掛けなかったんだけど困ってるようだったからさ」
「気づきませんでした。ごめんなさい、少しはお役に立ちたくて夕食を作ろうとしたんですけど全然で」
郁斗さんが帰ってきたことも気づかなかったなんて、ダメダメじゃないか。
「それは肉じゃが、かな。うん、ちょっと貸してもらってもいい?」
「え、はい。大丈夫です」
私はポジションを変わると、郁斗さんは慣れた手つきで鍋に入れていたじゃがいもとにんじんに玉ねぎを違うお皿に分けて一つ一つ取り出した。そして、順番に電子レンジに入れてスタートを押した。