お茶と妖狐と憩いの場
三章
 私はあれから深守と想埜と引き離され、宮守家まで戻されていた。
 蔵に押し込まれ、昂枝と共に身動きが取れなくなっているのだ。
 つまり、私の考えは失敗に終わったという事。指揮に徹してから戦わずに見ていた海萊さんは、海祢さんへ言い切った私の言葉を耳にし「ないない」と笑いながら首を振った。有無を言わさず引っ張り上げられ、狐に戻ってしまった小さな深守を助けることも出来ぬまま…。
 彼は今、どうなっているのか。
 想埜も同じく心配だ。彼は抵抗する力を持っているわけではない。どうか二人とも生きていて、と願いながら蔵の片隅で蹲っていた。
 そんな中、昂枝も向かい側で座り込み、険しい顔をしていた。話しかけるべきか否か。こんなところでじっと座っていても意味はないし、どうにか抜け出す手立てを考えなくてはならない。
 だけど、外に見張りがいる可能性は高い。今は外の物音も聞こえないが、閉じ込められてすぐは話す声が微かに聞こえていたのだ。
(何より……)
 私達を最終的に蔵へ押し込んだ相手は“宮守家夫妻”だ。今までの優しい雰囲気から一変し、恐ろしく見えたその風貌に、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまった。
 私にはわからなかった。宮守の二人だからこそ、昂枝を通じて我儘を聞いてくれないかと思ったが、当たり前のように押し切られてしまったのだから。

 ――何も、出来ない。

 昂枝と時たま視線が合わさるものの、やはり会話には発展しない。
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