雨降って、恋に落ちる

ぜんside



オレに近寄ってくる子は、みんな、オレの容姿が目当てだってわかってる。


『かっこいい』

って言葉を浴び続けたら嫌でも理解せざるを得ない。



『ぜんくんかっこいいよね!でもさ、』


その後に続くのは、
両親がいないとか、施設で暮らしてるとか。


面と向かって言われたことはないけど、一線引かれてるのはわかる。


目は口ほどに物を言う。



両親のことなんて知らなくて、施設育ちのオレを本気で好きになる子なんていない。


今までも。たぶん、これからも。


別に今さら愛されたいとは思っていない。


そんな願望はとっくの昔に捨てた。


お互いに必要なとき、お互いの利害が一致すれば、その時だけ満たされる関係。


それでいい。


それがいい。


都合よく欲を満たしても、欠陥品のオレはどこかに穴が空いていて、永遠にそれが埋まることはないらしい。

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