雨降って、恋に落ちる


放課後になると、すぐに帰るのが嫌で空き教室で時間を潰す。


窓際の席に座ってぼーっと外を眺めるのが好きだった。


しばらくすれば、誰かやってきて、誘われて、誘いに乗る。


断ることはない。


ほぼ毎日誰かしら来るけど、来ない日もある。


そんな時はひたすら外を眺めてボーっとしていた。



「キャーッ!」


毎日のようにサッカー男子を観て黄色い声をあげる女の子たち。


その群れの端で、ひとり、サッカーじゃない方を見ている子がいた。


ひとりだけ騒がないからここから見るとよく目立つ。


友達の付き添いなのか、たまに隣の騒いでる女の子と笑って話してるけどすぐにまた視線は違うところへ向く。


その視線の先には100mを駆け抜ける陸上部。


毎日のようにそれを見てるとさ、その子が誰のことを目で追ってるかわかるようになったんだよね。


そいつが走る時だけ、目が変わるんだよ。


その目がさ、オレを誘いに来る子たちの目と全然違ったんだ。


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