雨降って、恋に落ちる

れんside



本格的に梅雨入りした今日は、一日中雨予報で、校内の湿度も高くじめじめとしていた。


放課後、一人教室に残り日誌を書き終えた私は職員室に向かおうと教室を出た。


教室を出てすぐ、隣の空き教室を見て足が止まる。


今日はだれも訪れなかったのか
一人で窓側の席にたたずみ外を見ている彼。


アンニュイな雰囲気を漂わせているのは、"遊び人"と噂の学園の王子。


一度も話したことがないし、素通りすればいいものを、私はなぜか、導かれるようにその扉を開けていた。


ガラガラガラ


ゆっくりとこちらに向けられた整った顔、力のない瞳は、私を認識すると一瞬驚いたように開かれた、気がした。


「・・・今日は、ひとり、なんだね」


なんて話しかけたらいいかわからなくて、咄嗟に出た言葉。


「・・・・・・」


無言で私を見ている彼。


「あ、あの・・・」

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