雨降って、恋に落ちる

急に話しかけてごめんなさいと言うつもりだった。


「・・・・・・そっか、いいよ。慰めてあげよっか?」

「え?」

「意外だったけど・・・、そのつもりで来たんでしょ?」

ガタッと椅子から立ち上がった彼は、両手の親指をズボンのポケットにかけこちらに近づいてくる。


「なんの、こと?」


彼の纏(まと)う空気が、同じ年とは思えない色気を漂わせている。

少し見上げることになった初めて間近でみる整った顔。

前髪の間から覗くその目からは、まったく何も読み取れない。

何も悪いことはしていないのに、何か見透かされているような、責められているような、そんな瞳。


私はゴクリと唾を飲み込んだ。


「オレも暇してたし、・・・・・・って言いたいところだけど、」


だけ、ど?

私の目を見たまま黙る彼。

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