雨降って、恋に落ちる
「・・・・・・やっぱり、きみはだめ」
そう言うとスッと私の横を通り過ぎた。
「え・・・?」
「・・・・・・ねぇ、傘、余分に持ってない?」
気怠げに振り向きそんなことを言う彼。
「傘・・・は、ごめん。1本しかない」
そこまで言った私は、なぜか彼の返事を聞きたくなくて、終わらせたくなくて次の言葉を発していた。
「よければ・・・入ってく・・・?」
当たり前のように訪れた沈黙。
何言ってるんだ、私。
ドクンドクンと心臓が鳴る。
「じゃあ・・・・・・駅まで、いい?」
「えっ・・・う、うんっ。じゃあ、玄関集合でっ」
それを聞くと彼は空き教室を出ていった。