遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
玲央と付き合っていた彼女とクラスが別れ、再び瑠璃と同じクラスになった。受験を控えた年だからか、玲央も鳴りを潜めているようだ。瑠璃と玲央は、元カレ元カノの間柄とはいえ、いい別れ方をしたのかわだかまりがないのか、普通の友達として接している。
大学は、それまでの地道な努力が身を結び、地元の国立大学に推薦入学が決まった。
瑠璃は地元の短大に進学し、玲央は一般入試で学部こそ違うけれど私と同じ大学に合格した。
そうしてまた、玲央は私の近くで、玲央の選んだ彼女とのやり取りを見せつけたのだ。
就活が始まるころ、私は地元を離れるつもりで株式上場している大手企業を何社かエントリーし、内定を決めていたけれど、それを覆されることになったのはやはり玲央が原因だ。
「なあ、うちの親の会社でバイトやらないか? 試験運用で、バイトから正社員登用するみたいなんだ。優秀な人材を学生のうちから確保する目的らしい。お前は俺が知る中でも一番優秀な人材だと思うんだ。もちろん就活で内定している会社に就職しても文句は言わない。だから期間限定で、バイトしてみないか?」
そんな甘い言葉に乗っかった私も私だけれど、結果、内定が決まっていた会社をお断りすることになり、今日に至る。
定時を一時間回ったところでようやく今日の仕事が片付いた。私は急いで瑠璃に連絡を取ろうとスマホを取り出した。案の定、瑠璃からメッセージが届いている。
『お疲れさま! 時間潰しで駅前の本屋にいるから、仕事終わったら連絡してね』
私は既読マークを付けると、キーボード画面に指を滑らせる。
『お疲れさま! 今仕事終わったよ。私も欲しい本があるから、そっちに合流するね』
メッセージを送信すると、スマホをポケットの中にしまう。
「すみません、お先に失礼します」
部署に残っている先輩たちに挨拶すると、タイムカードを打刻して離席する。部屋の隅に置いてあるロッカーから荷物を取ると、私は職場を後にした。
大学は、それまでの地道な努力が身を結び、地元の国立大学に推薦入学が決まった。
瑠璃は地元の短大に進学し、玲央は一般入試で学部こそ違うけれど私と同じ大学に合格した。
そうしてまた、玲央は私の近くで、玲央の選んだ彼女とのやり取りを見せつけたのだ。
就活が始まるころ、私は地元を離れるつもりで株式上場している大手企業を何社かエントリーし、内定を決めていたけれど、それを覆されることになったのはやはり玲央が原因だ。
「なあ、うちの親の会社でバイトやらないか? 試験運用で、バイトから正社員登用するみたいなんだ。優秀な人材を学生のうちから確保する目的らしい。お前は俺が知る中でも一番優秀な人材だと思うんだ。もちろん就活で内定している会社に就職しても文句は言わない。だから期間限定で、バイトしてみないか?」
そんな甘い言葉に乗っかった私も私だけれど、結果、内定が決まっていた会社をお断りすることになり、今日に至る。
定時を一時間回ったところでようやく今日の仕事が片付いた。私は急いで瑠璃に連絡を取ろうとスマホを取り出した。案の定、瑠璃からメッセージが届いている。
『お疲れさま! 時間潰しで駅前の本屋にいるから、仕事終わったら連絡してね』
私は既読マークを付けると、キーボード画面に指を滑らせる。
『お疲れさま! 今仕事終わったよ。私も欲しい本があるから、そっちに合流するね』
メッセージを送信すると、スマホをポケットの中にしまう。
「すみません、お先に失礼します」
部署に残っている先輩たちに挨拶すると、タイムカードを打刻して離席する。部屋の隅に置いてあるロッカーから荷物を取ると、私は職場を後にした。