遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
 その後、続々と頼んでいた品が運ばれて、私たちは食事とお酒も進んだ。瑠璃も珍しくお酒をたくさん飲んだし、私もたくさん飲んだ。
 瑠璃の呂律が少しだけ回らなくなっている。私も大概飲んだので、そろそろここでお開きにしよう。

「瑠璃、そろそろお店出ようか」

 私は瑠璃に問いかける。すると瑠璃は珍しく駄々を捏ねた。

「やだあ、もう少し真冬と一緒にいるー」

 いつもなら、お店で会計を済ませたらあっさり解散するのに珍しいこともあるものだ。

「じゃあ、うちくる?」

 どうせ帰っても一人だ。友達が泊まりにきても問題はない。私の問いに、瑠璃は喜んで答えた。

「やったー! 行く行く!」

 話が決まれば後は早い。私たちは酔っ払って足取りが怪しくなっているけれど、そんなことはお構いなしで自宅までの道をゆっくりと歩きながら進んだ。

 途中のコンビニで、おつまみになる軽いお菓子と明日の朝食用の菓子パン、お酒を数本購入し、私の部屋へと到着した。
 瑠璃はリビングの床に座り込むと、テーブルの上に突っ伏してそのまま目を閉じた。

「ちょっと、瑠璃? そのまま寝たら、明日の朝大変だよ?」

 私の声は子守唄にしか聞こえていないだろう。すぐに寝息が聞こえてきた。

 私は溜め息を吐くと、洗面所から拭き取りのメイク落としを持ってきて、瑠璃の化粧を拭き取った。
 寝ている相手だから、時々無意識に嫌がられて手が私に当たることもある。けれどやらないよりマシだ。翌朝私に感謝してもらわなければ。

 とりあえず簡単にメイク落としを済ませると、私はクローゼットの中から使っていない毛布を取り出し、瑠璃の背中に掛けた。
 私は買ってきたお酒やおつまみ、これらを見ながらこれどうするのと独り言を呟いた。考えても仕方ないので、今のうちにシャワーを浴びることにした。

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