遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
「在宅しているとはいえ、無施錠は防犯上よろしくないからな」

 そう言って、さっきまで瑠璃が座っていたところに腰を下ろした。
 私はその姿を見て我に返り、キッチンへと向かう。

 ちょうどお湯が沸いたので、コーヒーの準備をした。マグカップに注いだコーヒーは熱々で、湯気に当たるだけで火傷しそうだ。両方を一度に運ぶには、トレイを使わなければ難しいけれど、我が家にそのようなものはない。
 私はまず、玲央の分のコーヒーを持って、玲央の元へと向かった。玲央の前にマグカップを置くと、再びキッチンへと向かう。自分用のマグカップにコーヒーを注ぐと、溢さないよう気を付けながらリビングへと向かう。

 玲央は私がテーブルの上に自分のマグカップを置いたタイミングで、口を開いた。

「真冬、好きだ。……中学時代から、ずっと好きだった」

 玲央からの唐突な告白に、私の思考は追い付かない。

「……は? 何言ってるの? そんなこと、ないでしょ。何これ、何かの罰ゲーム?」

 私の口からは、可愛げのない言葉しか出てこない。
 だって、今までこの人は、私の親友とばかり付き合っていて、私なんてまるで眼中になかったはずだ。それが一転して、学生時代から好きだったと言われても、信じられるはずがない。

「今までの行動を見ていたら、信じてもらえないかもしれないけれど、本当なんだ。今まで付き合ってきた彼女たちは、みんな真冬と仲が良かっただろう? あれは、真冬に言い寄ってくる男たちを見張るための隠れ蓑だったんだ」

 玲央の言葉は、私の理解の域を超えており、さっぱり意味がわからない。私に言い寄ってくる男たちを見張るための隠れ蓑? 一体どういうこと……?

「真冬って学生の頃、わざと見た目が強烈でモテない女オーラを放っていただろう?」

 玲央の言葉に、中学時代の苦い思い出が蘇る。

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