満天の星空が、透き通って見えるほどの青い空。


僕は、その下で愛犬のポチを散歩していた。


閑静な住宅街にある僕の家から、500メートル
ほど北にあるスーパーまでの往復が、ポチの散歩
コースだ。

「こんにちは」

女性が、挨拶をしてきた。


「こんにちは」


毎日、同じく愛犬を散歩している女性だ。


「ヨシヨシ」


僕は、ポチのリードを強く握って、彼女の愛犬
ココアの頭を撫でた。


「今日は、少し風が強いですね」

僕は、言った。


「そうですね」



青い空に浮かぶ太陽。


僕らは、ゆっくりとした時間を過ごす。



「それじゃぁ、また、明日」
 
僕は、笑顔を交えて言った。


「また、明日お会いしましょう」

彼女も笑顔で、そう言った。






翌日は、あいにくの雨。


午後になって、ポチがおねだりしてきたので、
僕は、いつも通り散歩に出かけることにした。


小さな雨粒が、土の道をはじく。


この小さな音とほのかな香りが、僕は好きだ。


水溜まりを見つけた。


僕とポチは、そっとその水溜まりを覗き込んだ。


そこに映る僕とポチは、ちょっと違う世界の
もののように思えた。

雨粒が、落ちるたびに水溜まりが波打って、世
界が変わる。


少しの間。


「あら、こんな所で・・・」

それは、いつもの彼女だった。


「今日は雨が降って大変ね」

彼女は、言った。


「そうですね。でも、僕は結構雨が好きなんです。
雨の音とか香りとか」


「あら、私も意外とそうよ。晴れもいいけれど、
雨の日の独特な雰囲気がもっと好き」


「ほら。この水溜まりを見て下さい」


彼女は、ココアと共に水溜まりを覗いた。


「わぁ、別世界みたい」


「ね、面白いでしょ?」


「この水溜まりの向こう側は、どうなってるんだろう」


「ははは。そんなこと思うんですね」


「変かしら?」


「はい。変です」


「ははは」


太陽が出てきた。



「宇宙ですね」


彼女は言った。


「え? 何がですか?」

僕は、尋ねた。


「きっと水溜まりは、宇宙なんだと思います」


「そうですか・・・宇宙・・・・・・」


「きっと、そうですわ」


「そうですね。きっと、そうです」


水溜まりに、太陽が映る。


「あそこに紫陽花が咲いてますよ」


僕は、笑顔で言った。


「見に行きましょう」


彼女も笑顔でそう言った。














































































 

 

 


 








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