甘い夜更け。朝を憎んだ。
スクープの内容は、こうだ。

「美しすぎる魔性の女子高生、夜乃とばりに魅せられた親友、佐藤アマイ。魔力に堕ちる」

中年男性と佐藤のツーショット。
周りに映る人物の顔にはモザイク加工が施されている。

背景はあろうことか繁華街のラブホテル。
佐藤の手に握られている物は、解像度は荒いけれど数枚の一万円札だと分かる。

幼馴染を洗脳して死に追いやるだけでは飽き足らず、親友の心までも操り、その美しき青春を金で汚させた夜乃の恐ろしさ、佐藤の心の弱さへの皮肉なんかが記されている。

タイトルは新聞の文字を切り貼りして作られている。
手書きの部分は筆跡から特定されないようにか、利き手じゃないほうの手で書いたような、
文字を覚えたての子どもみたいな字だった。

「アマイ」

「こんなのデタラメです!」

佐藤が大声を張り上げた。
シン…と静まり返ったのは一瞬のことで、すぐに
「でも本人じゃん」
「こんだけ証拠があんのに…」とか野次が飛び交った。

騒ぎを掻き分けるようにして、校内放送が鳴り響いた。
佐藤と、生徒会長である俺を、校長室へと呼び出す声。

佐藤は生徒会役員だから俺が呼び出されるのは当然だと思った。
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