甘い夜更け。朝を憎んだ。
昨日、校長室で録音された俺の証言通りの会話が流れ続けた。

過呼吸を起こしてしまいそうなほど、ひどく狼狽していた奥さんも、しまいには疲れ果ててしまったのか深く項垂れたまま顔を伏せ続けている。

ボイスレコーダーの音声が止まる。

「事実のようですね」

校長の問い掛けに、奥さんは憔悴しきっていて、すでに声を出せる状態ではなかった。

記者が悪足掻きのように「彼とのことは認める…しかし少女淫売を示唆するようなことは決してやってない!」と言い張った。

「この子をラブホテルに連れ込もうとしたことが事実かどうかは、正直この場ではもう明かせません。朝之くんのようにはっきりとした証拠がない以上、言った言わないのイタチごっこにしかなりませんから。しかし理由はなんであれ少女との間に金銭の授受があったことは事実ですよね。そちらに関してはこのようにはっきりとした証拠が残っています」

クラス担任が持ち上げたコピー用紙をバンッと叩きつけるようにテーブルに置いた。

奥さんの肩がビクッと上下して、また激しい嗚咽が応接室にこだました。
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