甘い夜更け。朝を憎んだ。
記者が俺を強請ったあの日。
実際に佐藤は夜乃の自宅へ、書道教室の月謝を持っていこうとしていた。

月六回分の二万円。
そこに俺が三万円を足して、合計五万円を持って、佐藤は普段使っている繁華街の駅へと向かった。

佐藤と記者がちゃんと鉢合わせをするように、
放課後に約束の金を払いたいから駅のロータリーに来て欲しいと、時間と共に告げた。

強請りに成功したことで気が大きくなっているところに、
普段から尾行を続けている少女との鉢合わせ。

記者は相当に興奮していたのだと思う。
遠目から見ても分かりやすく、意気揚々と佐藤へと接近した。

逃げようとする佐藤のあとを、記者は執拗に追い回した。
それだけでも十分な犯罪だ。

人混みを抜けて、路地に入り、数分歩いて、突然ラブホテルの前で佐藤はピタリと立ち止まった。

打ち合わせ通りだった。
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