甘い夜更け。朝を憎んだ。
俺の腕の中で、来栖は壊れた。

本心を全て曝け出した来栖にとって、セーフティラインなんてとっくに破滅していた。

「来栖」

「ゃ…みつくん…!」

「ねぇ、来栖。聞いて」

「なに…」

「来栖は俺の特別だよ」

来栖は素直だ。
全身で、喜びを隠せない女。

一際高くなる声も、震える身体(からだ)も全て。

「うれし…みつくん…ッ」

「ほんとだから」

「なんで…」

「来栖だけだからだよ。こんなにも俺を不安にさせるのは」

「不安なんて…」

「だからさ、その特別、俺に壊させてね」

「こわす?壊すの?ン…いいよ、わかったぁ」

来栖は十分に満たされた。
これ以上を求めてくることなんてないだろう。

特別。
誰よりも高いところまでいけたんだから。
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