甘い夜更け。朝を憎んだ。
教室の中から視線を感じる。

振り返らなくてもその視線の正体が誰なのかは分かるけれど、
ゆっくりと振り返った先の、来栖の視線とぶつかった。

スマホでメッセージを送信する。
俺を見つめたまま、通知に気がついた来栖は
恐らくその内容を読んで、クッと口角を上げた。

「蜜?」

「あぁ、ごめん。じゃあ明日、待ってるから」

「うんっ」

佐藤が教室前から立ち去って、もう教室の中は見ないまま、俺も背を向けた。

明日七時に俺の家に来て、と送信したメッセージ。

来栖と佐藤を鉢合わせさせることでどういうことになるかくらい、想像に容易い。
聖なるクリスマスイブ、どころではない。

限界だった。

全てを終わらせて、
全てを正しいほうへ戻したかった。

俺が一番正しくなれるのは、
本当にきれいな物の隣だけだから。
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