甘い夜更け。朝を憎んだ。
「なんっ………え、なんで…夜乃さん…?」
「生きてるよ」
「いや、え…?」
「どうしたの二人とも。幽霊でも見てるみたいに。夜乃とばり。ちゃんと生きてるよ」
「蜜くん…?なんで…?」
「なんで…って。俺が」
「みつ………?」
「犯人だから」
小さい部屋にエアコンの稼働音と、それに掻き消されそうなくらいの四人の呼吸音だけが鳴っている。
何かを喋れば酷い仕打ちでも受けるんじゃないかと信じ込んでいるみたいに、佐藤も来栖もお互いに目配せをして、俺の真意を探り合うみたいにオドオドしている。
意を決したように沈黙を破ったのは来栖だった。
「蜜くん、いつから…」
「いつから?そんなん知ってるでしょ。六月三十日だよ。あー、正確には二十九日だっけ?」
「アマイ。それからえーっと、」
ゆっくり、のんびりとした口調で言いながら、夜乃は来栖を見た。
「来栖だよ。クラスメイトなんだ」
「来栖先輩。初めまして…ねぇ、二人とも安心して」
「安心?」
「蜜先輩はね、私に呼吸ができる場所をくれたの。私は死んでた。ずっと。でも蜜先輩が救ってくれた。先輩だけが私の神様なんだよ」
微笑む夜乃に近づいて、目線を合わせるようにそばにしゃがみ込んだ。
俺と視線を合わせた夜乃は愛くるしい顔でにっこり笑った。
心臓の奥の奥のほうがギュッと締め付けられる。
夜乃を壊しても壊しても満たされないであろう感情。想い。
愛おしくて愛苦しくて気が狂いそうになる。
頬に触れると夜乃は「指。つめたい」と、音にならない声で囁いた。
「ねぇ、アマイ」
「はい…」
「来栖のこと、殺してくんない?」
「生きてるよ」
「いや、え…?」
「どうしたの二人とも。幽霊でも見てるみたいに。夜乃とばり。ちゃんと生きてるよ」
「蜜くん…?なんで…?」
「なんで…って。俺が」
「みつ………?」
「犯人だから」
小さい部屋にエアコンの稼働音と、それに掻き消されそうなくらいの四人の呼吸音だけが鳴っている。
何かを喋れば酷い仕打ちでも受けるんじゃないかと信じ込んでいるみたいに、佐藤も来栖もお互いに目配せをして、俺の真意を探り合うみたいにオドオドしている。
意を決したように沈黙を破ったのは来栖だった。
「蜜くん、いつから…」
「いつから?そんなん知ってるでしょ。六月三十日だよ。あー、正確には二十九日だっけ?」
「アマイ。それからえーっと、」
ゆっくり、のんびりとした口調で言いながら、夜乃は来栖を見た。
「来栖だよ。クラスメイトなんだ」
「来栖先輩。初めまして…ねぇ、二人とも安心して」
「安心?」
「蜜先輩はね、私に呼吸ができる場所をくれたの。私は死んでた。ずっと。でも蜜先輩が救ってくれた。先輩だけが私の神様なんだよ」
微笑む夜乃に近づいて、目線を合わせるようにそばにしゃがみ込んだ。
俺と視線を合わせた夜乃は愛くるしい顔でにっこり笑った。
心臓の奥の奥のほうがギュッと締め付けられる。
夜乃を壊しても壊しても満たされないであろう感情。想い。
愛おしくて愛苦しくて気が狂いそうになる。
頬に触れると夜乃は「指。つめたい」と、音にならない声で囁いた。
「ねぇ、アマイ」
「はい…」
「来栖のこと、殺してくんない?」