甘い夜更け。朝を憎んだ。
一学期最後の生徒定例会の日。

顧問が夜乃の議題を持ち出した瞬間に、
本来ならあいつを真っ先に殺してやってもよかったなとは、今になって思う。

何かと俺を目の敵にしていたあいつは、
夜乃の失踪や解決しないソレも、
生徒代表である俺の力が足りていないからだと言いたかったのだろう。

俺のせいだ、というのはその通りなんだけど。

もし俺がまったくの無関係だったとして、
一生徒の失踪、事件を一人の生徒、言ってもまだ未成年の子どもになすりつけようという考えも恐ろしいものだけど。

あの日、俺は顧問の前で「夜乃を見捨てるなんてことはしない。夜乃のことも必ず還すし、生徒会長として他の生徒の安全も守る」と、
顧問曰く「ビッグマウス」を叩いた。

夜乃を見捨てない。
当然だ。
そして嘘もついていない。

夜乃を還すことに関しては、今までと変わらず夜乃の生活を保証する、なんて意味ではないけれど。

夜乃がこの世界に戻る必要性なんてない。
二度と、ない。

夜乃にこの薄気味悪い俗世は似合わない。

夜乃とばりがただの「学園の生徒」なら、俺だって関わりを持ちたくはない。
事件にまで発展している、赤の他人のハプニングに一喜一憂できるほど俺は博愛主義者ではない。

でももしも、夜乃を攫ったのが自分では無かったとして、
夜乃にこんなにも心を奪われていないとして、
「生徒会役員だった以上、放っておくわけにはいかない」という感情くらいにはなっていたかもしれない。

だから想像してみて、そういう建前で「夜乃とばりを守る」と宣言してみたのだ。

俺が全ての責任を負うと宣言したことで生徒を遠ざけることに成功した。

やたらと首を突っ込まれては厄介だったから。
そしてほとんどの生徒が俺に従ってくれた。

来栖以外は。
< 174 / 185 >

この作品をシェア

pagetop