甘い夜更け。朝を憎んだ。
「アマイ、私ね」
「うん…」
「蜜先輩が私を世界から消してくれて初めて、この世界で生きてるって感じることができたの。うれしかった」
「どうして?夜乃さんはみんなの憧れだった。誰もがあなたになりたかった」
「でも″私の憧れ″じゃない」
そう言って夜乃はさみしそうに笑った。
「私は私を演じることで精一杯だった。みんなが″夜乃とばり″に求めているものくらい嫌でも理解できたよ。その期待を裏切れば私の存在価値なんて簡単に消えちゃうってことも。私は私じゃない何かになりたかった。蜜先輩だけがそんな私を見抜いて、世界から″夜乃とばり″を消してくれた。初めてちゃんと呼吸ができた気がしたの」
「とばり」
「はい」
「俺はね、そんな崇高なことはやってないよ。俺はただきみが欲しかった。きみだけが俺の世界で唯一の正しさだったから」
「正しい?」
「本物」
「本物?」
「そう。きれいだってこと」
「ふふ」
「ちょっと待ってよ…とばり、本当にこんなことが許されるって思ってんの?どれだけの人を巻き込んだのか分かってる!?あいつは…死んだんだよ!?」
「アマイってば、おかしい」
くすくす笑う夜乃は、そん容姿よりもずいぶんと幼さが漂う表情で破顔した。
「おかしい?」
「アマイだって立派な人殺しでしょう?」
「………っ」
「うん…」
「蜜先輩が私を世界から消してくれて初めて、この世界で生きてるって感じることができたの。うれしかった」
「どうして?夜乃さんはみんなの憧れだった。誰もがあなたになりたかった」
「でも″私の憧れ″じゃない」
そう言って夜乃はさみしそうに笑った。
「私は私を演じることで精一杯だった。みんなが″夜乃とばり″に求めているものくらい嫌でも理解できたよ。その期待を裏切れば私の存在価値なんて簡単に消えちゃうってことも。私は私じゃない何かになりたかった。蜜先輩だけがそんな私を見抜いて、世界から″夜乃とばり″を消してくれた。初めてちゃんと呼吸ができた気がしたの」
「とばり」
「はい」
「俺はね、そんな崇高なことはやってないよ。俺はただきみが欲しかった。きみだけが俺の世界で唯一の正しさだったから」
「正しい?」
「本物」
「本物?」
「そう。きれいだってこと」
「ふふ」
「ちょっと待ってよ…とばり、本当にこんなことが許されるって思ってんの?どれだけの人を巻き込んだのか分かってる!?あいつは…死んだんだよ!?」
「アマイってば、おかしい」
くすくす笑う夜乃は、そん容姿よりもずいぶんと幼さが漂う表情で破顔した。
「おかしい?」
「アマイだって立派な人殺しでしょう?」
「………っ」