甘い夜更け。朝を憎んだ。
ミステリーだかサスペンスだかに影響されて、その真似事をしたいのなら他でやればいい。
俺の前でくだらない好奇心を持ち出すな。

夜乃とばりがただの「学園の生徒」なら、俺だって関わりを持ちたくはない。

生徒会役員だった以上、放っておくわけにはいかない、というのが本音だった。

夜乃は一年生の頃から生徒会役員を務めていた。

二年生だった俺は会長、副会長が不在時の代理役だった。
夜乃とは二年間の付き合いになるけれど、その人となりはほとんど把握していない。

上辺だけのことなら言える。

恐ろしく美しく、端正な顔立ち。
名は体を表すと言うけれど、本当に夜を連想させる漆黒の瞳。
正直、小さい骨格に大きい目がきちんと収まっていることに感心すらした。

透けそうなくらいに白い肌。
一生紫外線から守られて生きてきたんじゃないかと本気で信じられそうなほど黒く、艶やかな髪。

周りの女子に比べて身長はそこまで低いイメージではない。
たぶん160センチ半ばくらい。
スラッと手足が長くて、肩幅が華奢。

もしも一生に一度の願いが叶うなら、夜乃とばりになりたい、
その顔でその身体(からだ)で人生を歩んでみたいと願うだろう。

本人は物静かで声を荒げたり、誰かとぶつかり合っているところも見たことがない。

親友である佐藤アマイのお喋りにうんうんと上品に微笑んでいる。
その首の動かし方も、ふわりと上がる口角も人間離れしているほどに美しかった。
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