甘い夜更け。朝を憎んだ。
昔からエンドロールが好きだ。

張り詰められた空気がふっと軽くなって
ようやく呼吸が許されるような気がする。

この作品には、佐藤アマイも来栖の名前も必要ない。

「アマイは何があっても一生、俺の味方なんだよね?」

「はい…」

「とばりのことだって本当は大切なんだもんね?」

「はい…」

「だったらどうすればいいか分かるよね?」

「え………」

「分かんないの?あーあ。やっぱアマイはいい子じゃないのかも」

「ちが………ちがう………」

「アマイが生きてることも俺達にとっては不安なんだよ。俺のことが大切ならちゃんと誠意を見せなきゃ」

「誠意って…」

「愛してあげたでしょ?お礼にきみも死んでくんない?ぜーんぶきみだけのせいにしてさ。ほら」

カッターナイフを握ったままの両手を包み込んで、その切先を佐藤の首筋に向けた。

「ぁ…や………」

「アマイ、いいなー。蜜先輩との共同作業。ケーキ入刀みたいね」

こんな悪夢のクリスマスイブに、
そんな的外れな純白を誓える夜乃はやっぱり最高の女だ。

「愛、なんてね。脳の病気だよ。そんなもんじゃ腹は膨れない。そのクセにこの世界は愛を欲しがるんだ。愛さえあれば何もかも救えると思い込んでる。その愛に殺されることだってあるのに。アマイ、きみもだよ」

「なに………」

「愛してるんでしょ、俺を。そんな病気、俺が治してあげる」
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