甘い夜更け。朝を憎んだ。
「すみませんでしたー」

「もう。生徒会長として責任感が強いのは結構だけど。一生徒であることも忘れちゃだめよ!」

「はい。気をつけます」

「遊んでたわけじゃないみたいだから減点はしないであげる。次サボったら減点だからね?」

「感謝します、先生」

遊んでた、どころじゃないんだけど。
定例会の資料は昨日、佐藤アマイを送り出した後にまとめ終わってるし、下校時に既に提出していることをこの教師はいつ気づくだろう。
その時には大目玉くらうなって思ったけれど罪悪感は持たなかった。

一緒に居た女子は違うクラスだったから教師の口から名前は出なかった。

あの子、階段で「迎えにきた」なんて言っていたけれど、
そもそもクラスが違うのに「迎えにきた」なんておかしい。

約束をしていたわけでもないし。
「誘いにきた」って素直に言えばよかったのに。

けれど不快感は無い。
今日あの子が吐露した心情やプライド、くだらない願いは理解が及ばないものではなかった。

俺が夜乃とばりに抱いている感情は他者とは違う。
羨望や嫉妬というよりは、恐怖や憐みだ。
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