甘い夜更け。朝を憎んだ。
夜乃を透かして自分を見ている気分。
全てを持っているようで本当はなんにも持っていない、ただの孤独な人間だといつか見透かされるかもしれないことにいつも怯えている。
そんな自分を自覚してしまうようで恐ろしかった。
意味は異なっていても夜乃がそこに居るだけで自分が守ってきたものが崩れ去っていく音に耳を塞ぎたくなる感情は理解できる。
その心情のみっともなさを「言いたくないんだけど」と表情を歪ませて吐露する姿には好感が持てた。
人間らしかった。
思春期を、今しかない若さこそが正義だと、ハイブランド級の限定品みたいな価値を見出して、誇示したい泥臭さ。
年齢を重ねた先の輝きを、美しさを知らない幼稚さ。
俺だっておんなじ年齢なんだから生きた先の結果なんて知りようもないんだけど、
それでも少女達は必死だった。
まるで夜乃とばりだけは生きて生きて、どれだけの年齢や歴史を重ねてもその美しさは決して変わらないと勝手に信じられ、妬むことで少女達は自分を保っているように見えた。
だから彼女達のことを嫌いにはなれない。
邪険にできない。
空っぽの俺が、クズな俺が救われるくらいには、
他者もまたくだらなくて稚拙で、自分に無いものの美しさを憎んでいたから。
全てを持っているようで本当はなんにも持っていない、ただの孤独な人間だといつか見透かされるかもしれないことにいつも怯えている。
そんな自分を自覚してしまうようで恐ろしかった。
意味は異なっていても夜乃がそこに居るだけで自分が守ってきたものが崩れ去っていく音に耳を塞ぎたくなる感情は理解できる。
その心情のみっともなさを「言いたくないんだけど」と表情を歪ませて吐露する姿には好感が持てた。
人間らしかった。
思春期を、今しかない若さこそが正義だと、ハイブランド級の限定品みたいな価値を見出して、誇示したい泥臭さ。
年齢を重ねた先の輝きを、美しさを知らない幼稚さ。
俺だっておんなじ年齢なんだから生きた先の結果なんて知りようもないんだけど、
それでも少女達は必死だった。
まるで夜乃とばりだけは生きて生きて、どれだけの年齢や歴史を重ねてもその美しさは決して変わらないと勝手に信じられ、妬むことで少女達は自分を保っているように見えた。
だから彼女達のことを嫌いにはなれない。
邪険にできない。
空っぽの俺が、クズな俺が救われるくらいには、
他者もまたくだらなくて稚拙で、自分に無いものの美しさを憎んでいたから。