甘い夜更け。朝を憎んだ。
「ご苦労様ですっ!朝も?まさかそれ書いてたわけじゃないよね」

副会長とは同じクラスだ。
当然俺が一時間目をサボったことも知っていた。

「定例会の資料まとめてた」

「嘘ばっかり。昨日残ってまとめてくって言ってたじゃん」

「そうだっけ」

「そうだよ。二組の子と一緒に居たんでしょ」

「…なんで?」

「昼休み。学食でうれしそーに喋ってたの聞こえた」

「…へぇ」

「蜜さぁ、あんまり生徒会の品格下げないでよね?なーんでこんなのが許容されてんのか分かんない」

「優秀だからかなぁ」

「まーじでくたばれ」

左の口角だけを上げて、伏目がちに睨んだ副会長に、俺は笑顔を向けた。

呆れたように短く息を吐いて、副会長はまたハンディモップを動かした。

「夜乃さんのことを話してたんだよ」

「とばりちゃん?なんで…ってこともないけど、なんで蜜が、関係ない女子と?」

「俺が話したかったわけじゃないんだけど。その子が話してきたから」

「なんで蜜に?」

「思春期のハートを輝かせる為には俺の存在が必要で、自分がきれいじゃなくなってでも俺に触れてもらえることをステータスにしてるのに、夜乃さんはただ居るだけで認められることへの僻み、とか」

「つまり蜜がサイコーってこと?」

「そうかも」

「はは。ほんと最低な男」

「そうかも」
< 37 / 185 >

この作品をシェア

pagetop